写真 © 清水隆裕
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図面 © STGK Inc.

カワサキデルタ

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2021
クライエント
East Japan Railway Company
建築設計
JR東日本建築設計
植栽計画
SOLSO Architectural Plant & Farm

多様な川崎を見つける場所

東西に長く伸びる川崎市には、緑豊かな多摩丘陵や生田緑地のある内陸部から、人口が集中する人気の居住エリアを持つ中心部、日本を代表する工業地帯を抱え独特の夜景が美しい臨海部まで、多様性に溢れる風景があります。同時に、川崎で暮らす人々もまた多様であり、そのような多様さを受け入れてきたことこそが今の川崎らしさをかたち作り、川崎の大きな強みになっています。そんな川崎を繋ぐのが多摩川です。川崎市の北端に流れる多摩川は市内全域に豊かな自然環境と恵みをもたらしてきました。本計画地のランドスケープでは、そのコンセプトを「URBAN to NATURE ~多摩川を巡る旅~」と称し、まるで多摩川を巡りながら川崎の様々な風景に出会うような、変化と多様性のある空間作りを目指しました。
計画地は、ホテル棟、オフィス・商業棟のふたつのビルに挟まれることで生まれた3つの広場的な空間をリニアな通路空間が繋ぐように構成されていて、ホテルや商業施設を利用する人々やオフィスに通う人々、さらには計画地の先にある住宅地から駅に向かう人々など、様々な目的を持った人々がこの外部空間を移動しています。この空間の構成を川崎を象徴する多摩川の流れに見立て、デザインを構成しています。3つの広場は「SATOYAMA」「URBAN」「BAY」と多摩川の上流から下流のあり方に擬えてテーマを設定し、それぞれの居場所のデザインや植栽計画など特徴を持たせました。また、それ以外の場所も「電車が見える」「飲食店の待ち合わせに使える」「待ち合わせができる」など日々の使われ方やその空間特徴を読み込みながら、多種多様な居場所を計画し人々が滞留できる計画としています。
これらの居場所をつなぐ役割を担っているのが空間の床です。多摩川の水面の揺らぎをモチーフに同一のモジュールで石種や仕上げを変えながら、連続した1本の流れをイメージしてデザインしています。ゆらぎの中には、川崎にまつわる名所や風景など、川崎の個性を構成する場所などの名称を掘り込んだ「多摩川・川崎タグ」と呼ばれるプレートが埋め込まれ、それらを追いながら移動することで、川崎の見所を知ることができるようになっています。川崎駅前というこの場所で、川崎が誇る多様性を感じながら思い思いの時を過ごす。この場所が人々にそのように使われて欲しいと思っています。

● それぞれの居場所に応じたファニチャ計画

「BAY AREA」の広場は、隣接するミューザ川崎やラゾーナ川崎・川崎駅東口方面へとデッキでつながる交点にあり、比較的通行量の多い場所です。そうした中で待ち合わせや休憩どころになる設えとしてのベンチを計画しました。ベンチの配置・形状は雁行配置のロングベンチに加え、広場を囲う背もたれ付きのベンチによって湾のような大小の領域感を作り出しています。
「URBAN AREA」のオフィスエントランス側には、エントランス前の大空間を活かし、コンサートなどステージを必要とするイベントを行える大きな縁台型ステージを計画しました。ステージの雁行した平面形状や段状の不規則に重なり合うステップは、通勤通学で通り抜ける人々のたまり場や遊び場となり、また広場の印象付けになるような形を目指してこの形状に行き着きました。また、オフィスエントランス脇の通路沿いには、オフィスで働く人がランチや休憩がとれるカウンターテーブル、面と向かい合って会話ができるようなローテーブルセット、気分で選べる植栽帯の縁に取り付く一人掛けベンチを配置しました。カウンターテーブルには、スツール付きと立席の2種類があり、立席の方はオフィスエントランスから線路へのビューの妨げにならない配慮としてこの形状となりました。線路前エリアでは、オフィス前の通路から線路側へ植栽帯を挟んだ先は低いフロアとなっており、人通りのある通行動線から離れ、より線路に近づきながら電車を眺められる展望スペースとしてベンチを配置しました。
「SATOYAMA AREA」ではオフィス棟の同フロア飲食テナントが面する屋外通路沿いに、入店待ちやランチ後の日当たりの良い時間に寛げるような場所としてゆったりと座れる背もたれ付きのベンチを計画しました。

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